第10章 エクスキューズミー
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翌朝
今日は個性を鍛える訓練ということで、各々違った訓練、ということで
特に何をするでもなく、私は
木陰で治癒が必要な人を待ちながら眺めていた。
『勝己、お湯に手つっこんでなにしてるんだろ…あれも訓練なのかな…
焦凍に至ってはドラム風呂につかって、氷出してるし…』
個性を鍛えるのって大変なんだな…
二日目も同じような訓練で、両日とも、私がした治癒といえば疲労した筋肉の回復くらいだが、それでもとても忙しかった
昨日のご飯作りはB組を手伝ったので
今日はA組を手伝う、ちなみに献立は肉じゃがらしい
「爆豪くん包丁使うのウマ!意外やわ…」
麗日さんが勝己の包丁捌きを見て言う
「包丁に上手い下手なんざネェだろ」
と言いながら玉ねぎをくし切りしていく
『ほんとだ、勝己すごく上手い』
「あ゛?なら結婚しろコラ」
『そうなるのは意味わかんない』
食事の後は、リクリエーションとして、クラス対抗肝試し大会に
引きずられていく補習組に手を振り、私はお兄ちゃんの代わりに、B組に入ることになった
「寧々ちゃんは、これね!」
といって拳藤さんから渡されたのは、白いワンピースと、頭に巻く三角の天冠
「これに着替えて、木の奥から怨めしやーって出てくればいいから!」
『ベタですね…笑』
A組の人を何人か驚かせたあと、また木の後ろにスタンバイする
『幽霊役結構面白いかも…』
続いてやってきた2人組西線を移せば、焦凍…と勝己というすごい組み合わせだった。
なかなか驚かない、そんなふたりのびっくりした顔が見たくて
『うらめしやー!』
バーン!と登場してみたけれど…
「…お」
焦凍は少し驚いた顔をしたが反応は薄い
「何やってんだ」
勝己はいつも通りだ
『もー二人とも驚いて…よ…』
あれ?クラクラする…
突然、足元もふらついて、視界もぼやけ始めた
私は、驚くふたりの顔を見ながら、意識を手放した