第9章 ヒアミー
焦凍と話してから三日が経つ
私は勝己の恋人として、日々過ごしていた
お兄ちゃんはショックすぎたようで
変なテンションになっているけど、勝己に個人的に攻撃を仕掛けてくることはなかった
(A組さんには突っかかっているようだけど…)
あの日から寝不足が続いてるからか
体が重い
体育でバレーボールをしているが、
眠くて、ふらつきそうになる
「寧々!危ない!」
そう言われて顔を上げると
バコ!
派手な音を立てて、頭にボールが当たり
そのまま倒れてしまった
- - - - - - - - -
「治癒ーーーー!」
目覚めたのは保健室、リカバリーガールがこちらを覗き込んでいる
『あ、あの私』
「軽い脳しんとうだよ、一時間ほど寝ておけば治るさね」
『あ、ありがとうございます…』
「あと、きちんとご飯食べなさいな、どこもひょろひょろで細すぎるよ」
『わかりました、気をつけます』
そういえばここ何日かは食事も喉に通らなくて、お兄ちゃんがせっかくフレンチをつくってくれてるのに
無理して食べると吐いてしまって…
何も考えたくない
目を閉じる
暗い水の中に沈んでいくように眠りについた
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
「寧々!寧々!」
名前を呼ばれて目を開ける
『かつ…き…』
目の前にはバトルコスチューム姿の勝己
『どしたの…?』
「お前が倒れたって聞いて、でもそんな悪くねぇみたいだな」
安心したように、ドカッとベットに座る
『うん、ちょっと体育でヘマしちゃっただけ』
心配させてごめんね、と謝る
ふと見ると、勝己肩のところを怪我している
「実習訓練だったから
そういえば保健室のババアいねーな」
『リカバリーガール、どこいったんだろうね
それくらいなら、すぐ直してもらえるよ
ちゅーって』
リカバリーガールの物真似をしてみせる
すると勝己は少し笑ってくれて
「ん」
と肩を出してきた
『え?』
「さっさと直せ、治癒してくれんだろ?」
勝己はいつもの意地悪な笑顔になる
『もぉ、私じゃできないって』
「オレはバァさんより、寧々に治癒されてぇ」