第9章 ヒアミー
私は特に怪我もないので職場体験に戻ることにした
CM、広告撮影やインタビュー
忙しい日々だったが、忙しく過ごす事で恐怖を紛らわす事が出来た
そして、職場体験は終わり
『久しぶりな気がする…学校』
「ほんとに久しぶりだよ、寧々のもち肌」
校門のまえで、兄からしっかりとしたスキンシップを受けている
詳しく言うと、ほっぺスリスリされている
『そろそろ教室いくね』
お兄ちゃんを引き剥がしていると
「おはよう」
焦凍が声をかけてきてくれた
『お、おはよう…』
なんだか恥ずかしくて顔が見れない
お兄ちゃんが思い切りガンを付けてるけど、気にしないことにして
焦凍の顔もろくに見ないで逃げてしまった
焦凍と個性解除のためにキスをしてからというもの
勝己からのラインにも、電話にも出れてない
なんだか勝己と、どう会話したらいいのか分からなくなったから…
溜息をつきながら
教室のドアを開け、席を見ると
「よぉ、寧々」
私の席には勝己が机に足を上げて座っていた
『か!勝己…』
クラスメイトがざわついている
「寧々、なんでオレからの連絡返さねぇんだ?あ゛?」
じりじりと近寄ってくる勝己
『そ、それは…』
勝己を見ると胸が痛くなる…きちんと顔を見ることも出来ない
「こい」
勝己は私の手を掴んで廊下を進み始めた
『…』
私は何も言えず、ただ付いていくだけだった