第8章 トラストミー
「実際、寧々が居なかったら
俺達はやられていた」
『ギリギリだったもんね…』
「2人がかりでやっても攻撃が効かなかった
俺一人だったら、無理だったと思う」
『勝手に個性借りてごめんね…』
「そういえば、身体は?耐えられてねぇんじゃねぇのか?」
『うん、ぶっちゃけキツイ…
今も我慢して左から炎出さないようにしてる…』
氷はでてもいいけど炎出ちゃったら火事になるもんね、と笑うと
焦凍は視線を少し外して恥ずかしそうに頬を染めた。
「その…コピー…解除するか?」
『解除………』
私の顔が熱くなり、焦凍ももっと赤くなっていく
(そうだった、コピーした個性を、解除するには
もう一度キスをしないといけないんだった…)
「いいか?」
焦凍が、私に聞いてくる
『う、うん』
「ちなみに、昨日のキス」
唇の少し先で焦凍の静かな声が聞こえた
「初めてだった…」
『///////////
ごめんなさい…』
「いや、嬉しかったんだが
ただ、こういうことはきちんとしてぇ…」
「やり直してもいいか?」
何も言えず、ただ頷く
数秒見つめ合い、焦凍の綺麗な顔が近づく
私の両腕を握っている焦凍の手が、熱くなっていく
1度、触れ合うだけのキスが来て、
そのまま深い深いキス
角度を変え、何度も
胸が苦しい、心臓が体からはみ出しそうだ
『はぁ…っ…』
唇が離れるとともに、力も無くなる
「寧々…」
ギュッと強く抱きしめられる
目を瞑り、焦凍の胸に体を預けた
「好きだ、どうしようもないほどに」
私は…
この胸の痛みは何なんだろう
この痛みがトキメキなら
恋はなんて苦しいものなんだろう
『……』
私は何も答えられず、涙を一粒流した