第1章 ドントタッチミー
学校生活にも慣れはじめたある日
寧々は、学食で友達とお昼を過ごしていた
お弁当箱からオカズを口に運んでいると
「ねー、これって全部寧々がつくってるんでしょー?
すごいよねー!」
友達の1人が感心したようにお弁当箱を覗き込んでくる
『そうかなぁ
昨日の残りとかも入ってるよ?』
「でも、レンチンのおかず使ってないし
すごいよー!今度教えてー?」
『いいよー、こんなのでよければ』
そんなたわいも無い話をしていると、突然大音量のブザーが鳴り響いた
侵入者を知らせるブザーのようで
食堂は大混乱し、避難しようとした寧々達も人波に押されてしまう
「きゃ!寧々!」
友達が手を伸ばしてくれるが掴めず、見失ってしまった
『ゆき!さきちゃん!』
名前を呼ぶが届かない
寧々は、大きめの男子生徒に押されて、足がもつれて
倒れそうになってしまう…
(あ、やばい…倒れる!)
やってくる痛みを覚悟して目をぎゅっと閉じるが…
『あれ?
あったかい…?』
痛みの代わりに温もりを感じて
そろそろと目を開くと、
白と赤の髪が綺麗な男の子が
向かい合うように彼女を抱き寄せていた