第7章 リーブミー
「これ、さっきの彼に渡しといて!」
事務所に戻るとカメラマンさんが、封筒を渡してくる
『さっきの…爆豪くんですか?』
「そうそう!優勝者の爆豪くん!よろしくね」
『ハイ、わかりました』
「んじゃ、おつかれー」
おつかれさまです、と頭を下げる
勝己には何分か前に『おわったよ』と連絡した
スマホがブルブル震え、画面を見ると
「着いた」
シンプルなLINEが届いてる
受付に挨拶して外に出ると
元の髪型にもどった勝己が立っていた
『髪型戻したんだ?』
「うっせぇ」
『似合ってたのに』
「似合ってたまるか!飯行くぞ、飯」
サッと手を繋がれる
あったかい
勝己はベストジーニストが勧めてきたというイタリアンに連れてきてくれた
カジュアルな雰囲気で居心地がいい
向かい合って座ると、なんだか少し照れくさくなった
『あ、そういえばね
カメラマンさんが、これを勝己に渡してって』
思い出して、封筒を渡す
「なんだ?」
勝己は封筒を開け、中身を見て顔を真っ赤にした
『ん?何が入ってたの?』
「うっせー、秘密だバァカ」
『ええー、ずるい』
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~爆豪side~
はい、と渡された封筒を開ける
中からはメモと、一枚の写真
その写真は寧々のもので、とても幸せそうな表情でわらっている
そしてメモには
«君とあった直後の寧々ちゃんだよ
いい表情だったから、おすそ分け»
とだけ書いてあった
一気に顔が熱くなる
『何が入ってたの?』
なんて、寧々が聞いてくるから
急いで封筒にしまった
「うっせー、秘密だバァカ」
折れないように、大切にカバンの中に入れた
(粋なことしやがる…)
あの安心したような幸せそうな表情を、俺がさせたのかと思うと
嬉しくてニヤケが止まらない
悟られないように眉を寄せる
あぁ、ダメだ
寧々の前だと締りがない顔になる
好きなやつが傍に居るだけで
こんなにも締りが無くなるのかよ
そして思うのだ、守りたいと
もっと強くなりたいと
スゲーな、こいつ
寧々の顔を見ながら、そんなことを考えた