第52章 キスミー
心電図の音と、人口呼吸器の音が響く。
無機質な病室
警察に事情を聞かれて帰ってきた轟が、室内にはいってきた。
「次……爆豪くん、いいかな?」
刑事に聞かれると、爆豪は寧々のそばから離れ、無言でついて行く。
「すまないね…ご友人がこんな時に…」
刑事は、爆豪になるべく優しく声をかける。
────ご友人…
轟は病室を出ていく後ろ姿を見つめながら、小さくため息をついた。
自分も問われたのだ
────口付寧々さんはご友人関係かな?
恋人だと答えられたらどれほど良かっただろう。
確かに愛し合ったはずなのに、俺たちは社会に認められない関係でしかなかった。
そしてそれは、爆豪も同じなのだ