第6章 ハグミー
自宅に帰ると、お兄ちゃんはまだ帰ってきていなかった
制服のまま、ベッドに横たわる
まだ少しひりひりする左の首筋に指を這わせる
焦凍と勝己くん、どっちも火の個性を持ってる…
私の初恋の人と同じ…
こんな偶然ってあるのかな
せめて髪型だけでも覚えてれたらな…
記憶を頑張ってたどるがやっぱり思い出せない
ため息をついていると
スマホがブーブーっと震えた
ママから電話だ
『もしもし、ママ?』
「もしもしじゃないわよ!テレビ見たよ!テレビ!!」
『あー…』
「何あのイケメン2人!寧々、詳しく教えなさいよぉ♪」
『絶対そう言うとおもったよぉ』
「寧人も我が息子ながら、なかなかイケメンだけど、あの2人も負けず劣らず美形だったわ!
やんちゃ系と王子さま系?やっだ、どっちが息子になるの!?一位とったから、やっぱりやんちゃ系?」
『ママ…落ち着いて
どっちとも付き合ってないよぉ』
「え?でもあの2人、寧々の事奪い合ってるんでしょ?」
『うーん…奪い合うってのはよく分からないけど…
一応、2人から告白はされ…ました』
「あらっ♪いいわねー」
『もぉ、からかわないでよ』
「でも、そんなことになってるなら寧人が大変なんじゃない?
ほら、あの子超ド級のシスコンでしょ?
体育祭の時も、やんちゃ系boyに喧嘩売ってたし」
『お兄ちゃんは、別にいつも通りだよ』
「寧々のこともニュースで話題になってたわよー
雄英体育祭に舞い降りた勝利の女神ーだって!」
『え、最悪』
「ママのところにも取材きたりして!大変!化粧バッチリしなくちゃ」
『お願いだから、小さい時の写真とか出さないでね…』
「そういえば寧人、今居ないの?」
『うん、まだ帰ってきてないみたい』
「そう、ま、どっちがうちの婿になるのか
決まったら教えてねぇー」
またねーと一方的に電話を切られる
面食いなお母さんのことだ、テレビを見たら必ず連絡が来ると思っていたけれど案の定…
それにしても、私のことニュースで言ってたって…
焦ってテレビを付ける、
どのチャンネルも雄英体育祭の話で持ちきりだ