第6章 ハグミー
「雄英体育祭に舞い降りた勝利の女神
彼女の正体は?!」
テレビの右上に書いてある大げさな煽り文句に頭痛を覚える
『まじでかぁ…』
«今回の雄英体育祭、みなさんも気になったのはこの美少女じゃないですか?»
«一位の爆豪勝己、二位の轟焦凍、その両者が奪い合っている女生徒ですからねぇ»
«彼女は普通科ということで、試合でこそ目立つ場面はありませんでした、個性を使うこともなかったので無個性なのでは?とも言われていますね»
«一位をとった方と交際の約束があったとの話ですが…»
思ったより取り上げられてて、見るのも嫌になりテレビを消す
「めんどくさい事になったな」
『ほんとに』
って…『えええええ!お兄ちゃん!』
「寧々、守ってやらなくてごめん
爆豪を一位にしないよう頑張ったんだけどさ…」
『あーそのことなら大丈夫
今回はノーカンって言われたし、そもそも奴隷契約じゃないみたい!』
『あのね、お兄ちゃん!私、勝己くんに告白されたの
「俺のモノになれ」っていうのは、奴隷じゃなくて恋人なんだって』
「は?そんなの分かってるよ」
『え』
「で、アイツのモノになったの?
頼むからなってないって言って」
真面目な顔で両手を握ってくるお兄ちゃん
『うん、まだなってないよ』
「まだって…」
お兄ちゃんの目の奥がギラりと光る…
これ以上この話し続けたらダメだ、
『そ、それよりさ今日、晩御飯作るのめんどくさいからラーメン食べに行こ、お兄ちゃん』
話題を無理やり変えてにっこり笑ってみせると、
お兄ちゃんはそれ以上なにも言えなくなる
(まぁまだ何もないなら
ここから挽回して絶対邪魔してやる)
物間は静かにそう誓ったのだ