第51章 アポロジャイズフォーミー
「おい…!」と声を出した爆豪を轟がとめた
──── 突然空気が変わる
獰猛な、肉食獣に睨まれているような…。
轟と爆豪は、オールフォーワンを思い出していた。
あの殺気は、どちらかと言えば静かで、ただただ冷酷だったが
この殺気は、燃えるようにギラついていて…果てしなくドス黒い…。
人波が別れて、奥から出てきた男は、小粋なハットを被り、グラサンにトレンチコート。
首元に洒落たスカーフを首にかけた、ダンディーな男。
「まぁまあ……子供をあんまり怖がらしてやんなさんな
わしらが用があるのは、そこのべっぴんさんだけじゃろぉ…」
その男が現れた途端、ショッパーは、ザリ…と足を踏みしめた。
その膝が、少し震えているのを、轟は気づいて眉をしかめる。
あれほど強いショッパーが震えるほどのヴィランなのかと、目の前の男を見やる。
「お…まえ…生きて……!」
ショッパーが首を絞められた鳥のような声で言うと、男はハットを丁寧に脱いだ
現れたのは
顔の半分を覆う、大きな傷
「生き地獄じゃったわ
知っとるじゃろぉが、メンツ潰されたらのぉ…
極道っちゅうのは、生きとるよォで生きとらんよぉなもんよ
…あの日からあんたの活躍聞く度にここの傷が痛くてたまらん…」
男はゆっくりと右顔の傷を撫でる。
そして、グラサン越しに持ち上げた瞳で、ショッパーを睨み殺した。
「じゃけぇ…取り返しに来た…
ワレ(お前)に潰されたワシらのメンツをなぁ…」
ショッパーは素早くレシートを取り出し、5枚まとめて一気に破った。
一気に飛びかかってくる極道達、
ショッパーの両腕に持っているショッピングバッグは500キロづつの重さがある、
それを振り回しながら雑魚を蹴散らすが、相手が多く、すべてを一人では抑え込めない。