第51章 アポロジャイズフォーミー
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「悪いって思ってるんだ?」
『だって…悪いのは私なのに、完全に八つ当たりだし…』
離れて既に4日ほどたち、冷静さを取り戻し始めた寧々はスマホを片手にベッドで大の字になっていた。
通話相手はアラタ。
オーストラリアとは時差わずか1時間だ。
『あやまりたい…でも…』
「あやまればいいじゃん」
『でもね、電話とかラインじゃダメなの、
直接言いたいの…』
「直接いえばいいと思うよ。」
『どうやって?』
寧々が問うと、アラタはフッと笑った。
「広島だろ?行けばいい」
『迷惑じゃないかな……いきなり行って…』
寧々はコロンと横になって膝を抱える。
「爆豪勝己が?寧々を?
ないない、彼が寧々を迷惑がると思う?」
そう問われて、寧々はムゥ…と考え込んだ。
確かに、爆豪が迷惑がる図は思い浮かばない。
「それに、明日はクリスマスイブだしな。
サンタさんも寧々の味方をしてくれるよ……」
『サンタさんって…お兄ちゃんとアラタのこと?』
「あれ?バレてた?」
去年までは毎年、クリスマスイブにいがみ合いながらも寧々の枕元にプレゼントを置いていた。
両親が離婚してからも、一年も休むことなく、毎年だ。
「寧人と俺が味方なら、心強いだろ?」
『うん、心強いよ。ありがとう…』
寧々の声は、さっきまでの不安はなく
とても穏やかに、冬の夜に消えた。