第50章 ホールドミー
「なっ!バカか!」
ココからの距離約10メートルの地上に向かって身を投げ出すショッパーは、不敵にニヤリと笑って手元のレシートを破る。
それらがショッパーの手を離れ、紙吹雪になったと同時に、ショッパーはコンクリートの地面に着地した。
ミシッ!!!という音がしたが、割れたのはコンクリート地面で、
ショッパーはピンヒールのまま何事も無かったかのようにショッピングバッグを持って立っている。
ショッパーを助けようと飛び降りた爆豪と轟も地面に降り立つと、
ショッパーに向かって、何が起きているのか全くわからないという視線を向けた。
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ミスショッピングバッグ…
個性【ペイメント】
買い物で使ったお金に比例して、身体能力を上げることができる
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(今さっきのレシート金額は10万くらい…だから、10分くらいかなー)
ショッパーは、ヴィランと対峙するとフッとバカにしたように笑った。
「何笑ってんだ、あ゛?」
「いや、悪いね
あんまりに服ダサくて笑ってしもぉた」
ショッパーはこらえきれないようにもう一度吹き出すと、ヴィランは怒りからワナワナ震えてメリケンサックを嵌めた拳を勢いよく振り下ろした。
ショッパーは、少ししゃがんで飛び上がると、それだけでその男の頭上はるか上に舞い上がる。
空中でくるりと回ると、まるで肩車するかのように、ヴィランの肩にまたがり、綺麗な脚で首を絞めあげた
息の止まる苦しさに男はじたばたと暴れる
「くそっ…ぐぁ!いき゛…」
どんどん青ざめながら足を剥ぎ取ろうともがくヴィラン、だがその足はピクリとも動く気配はない。
ショッパーは腕につけたカルティエの時計を眺めながら
「さーん、にー、いーち…」
と突然カウントを始めた。
「ぜろー♡」
そう言い終わると同時、
ヴィランがぐらりと倒れ、地面にドォオォン!と倒れる。
彼女はひらりとヴィランの背中の上に立ち
爆豪と轟を見下ろした。
「おーい、二人とも怪我してないー?」
「片足だけで…」
「……バケモンかよ」
警察がヴィランを回収する間、スタバで買ったフラペチーノを飲むという、ヒーローらしからぬ行動をしていたが
それでもミスショッピングバックの実力は本物で、爆豪と轟は何の手助けにもならなかった己を恥じた。