第50章 ホールドミー
「……は?」
爆豪は改めて目の前の女を見直した。
その出で立ちはどこからどう見てもプロヒーローではない。
ただの買い物帰りの女だ。
その女がほかの女と違う点をあげるとしたら、色々と買いすぎだという事くらいのものだ。
何を買ったのか知らないが、両手で合わせて、10はショップバッグを持っている。
Tiffany & Co.やら、GUCCIやら見たことあるブランドロゴばかり。
「そうよ、私があんた達をお世話するインターン先
ショッピングヒーローの、ミスショッピングバッグ。
愛称でショッパーって呼ばれてるけぇ、よろしくぅー」
ガサガサと、紐のかかりまくった腕を差し出すと、轟は手を握り返した。
「さ、ボーッとしてないで入って入ってー」
ショッパーに付いてビルの中に入ると、中は余計にヒーロー事務所とは思えなかった。
どこかの洋服デザイナー会社にでも紛れ込んだ感覚に、爆豪はまた「来るとこ間違えた…」と心の中でつぶやく。