第49章 ドントストップミー
俺が元に戻ってから、寧々と話してねぇまま日々が過ぎようとしていた。
轟は寧々にベッタリで
俺に隙なんざ与えねぇ…。
いや…それだけじゃねぇ…
寧々自体が、あいつの意思で俺を避けとる。
気付かねぇようにしてんのかしらねぇが、舐めんな。バレバレだクソが。
んで、なんであいつはあんなに好かれとんだ。
休憩時間の度に寧々の席に群がりやがって…
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あくまで関心がなさそうに窓の外を睨みつける爆豪の4個後ろの席で、芦戸の声が響いた。
「やっぱスカートか、ぴったりタイツだよ!」
「可愛いのがいいよぉ!」
「防火、防水…防塵…あとかなりの伸縮性も必要ですわ。
私の個性をコピーした場合や、切島さんのような個性の場合も考慮しますと、布地の量は少ない方がいいかと」
「布地…すくな…………ぁ……」
「峰田ちゃん、目怖いわ。」
何をガヤガヤとうるさいのかと言うと、
皆が囲んでいるのは、提出期限を2日すぎたヒーロースーツの申請書。
「やっぱかわいーんがいいよな!」
「上鳴、それ最初に戻ってっから
まーでも、いろんな個性に対応できるようなコスチュームじゃないとだよな」
盛り上がる周りに対して、寧々はどこか憂鬱さを隠すために無理やり笑う。
その横でブツブツブツブツブツブツとノートにペンを走らせる
「みんなの意見を踏まえて…これとかどうかな!!!」
緑谷のノートに書かれたコスチューム案
寧々が見るより前に、皆がそれを齧り付くように見て、各々の改良ポイントを追筆していく。