第1章 ドントタッチミー
隣の席の男子生徒の横顔をおもいだしていると
「寧々ーー!」
名前を呼ばれ、振り返ると全力疾走でこっちに向かう兄、
千切れそうなほど手を振って満面の笑みで駆け寄ってくる。
「寧々の教室行ったらもう帰ってたからさー
めっちゃ走ったよ!」
軽く肩で息をする兄に、寧々は
『普通科まで来たの?ジロジロみられなかった?』
と首を傾げて聞く。
「いや、みんなまだヒーロー科とか普通科とかわからないみたいだから平気だった。
それより、変な男に変なこととかされなかったか?
連絡先聞かれたりとかしたらお兄ちゃんが消してあげるからね」
物間はいきなりブラックな表情になり
決して穏やかではないオーラの中で寧々を見つめる。
『え、いないよ
ってかそんな物好きいないよ』
寧々がそう答えれば、物間は少し複雑そうな顔をして、
でもまたすぐにいつもの笑顔に戻り
「晩飯の材料買って帰ろうか」
と寧々の頭をくしゃりと撫でた
『うん!
グラタンがいいなぁ〜』
新しい学校で緊張していたのか、
やっと頬を緩める妹の可愛い笑顔に
物間はホッとしていた。
やはり、同じ学校でよかった、
自分のそばにいれば守り続けてあげれる。
寧々を守ることが、
物間にとって一番な目標なのだから