第49章 ドントストップミー
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部屋に戻ると、寧々は制服を脱ぎ始めたが、ワイシャツを脱ぐ段になってこちらを振り返った。
『目、つむっててね』
「なんでだ?」
『恥ずかしいから!』
いい?と念押しをされたが無言で目を閉じた。
その十秒後に開くと、目の前で寧々がワイシャツを脱いで、細い肩と白い背中があらわになった。
その肩にそっと口付けると、寧々はビクッと震えて、
顔だけ振り向いて俺を睨む。
『見ないでって行ったのに!』
「見ねぇって言ってねぇ」
そんな屁理屈を寧々はため息で受け入れてくれる。
甘えてんのはわかってる。
俺はいつだって、こいつの。寧々の優しさに甘えてる。
肩筋から、首の後ろに口づけを移した。
寧々は小さく吐息を吐くけれど、
『服…着替えたい…』
と涙目で抵抗をしてくる。
「でも……もう、お前がほしい…」
今までの人生…
いろんなものが、目の前をただ流れるように去っていくだけだった。
見ないようにしようとしたものが多すぎて…
何にも興味を失うことが前提で…
目の前を滑り落ちるように、流れていくだけ
けれど、寧々だけは…
寧々の仕草や…声や、俺を見る視線は
胸に詰まって流れねぇ
流れねぇどころか
胸にどんどん溜まってって…
積もっていけばいくほど焦燥感に駆られる
全部全部
今は…今だけは…今だけでも
「全部、俺のモノだ…」