第49章 ドントストップミー
あのクソ女を爆破してやろうと、2-F寮に乗り込んだが
探出ラムは数日前から居ないと言われ、共通スペースの机だけ焦げ付かせて帰ってきた
自分の寮への帰り道に、記憶失くしたあいつと話した噴水があって
一瞬あの時のあいつの顔を思い出した…
こんな寒い日じゃなくて、もっと暑くて、でもその暑さが心地よかった……
それは、今、俺が1人のせいなのか
それとも単に、季節のせいなんか…
わかんねぇけど、鼻の奥がツン…とした。
なんであいつが、ヒーローにならにゃならんのだ。
あんなに、嫌がってたあいつが……。
あの、訓練…あれはあの透明の足を引っ張んねぇために、あんな無茶したんだろ
やりたくねぇなら、やりたくねぇって言えばいい
辛いなら、辛いって言えばいい
それを言わねぇのは、オレら(A組)を…ヒーロー目指してる奴らの為なんだろ…
お前はなんでいっつも、人のことばっかで……
いつだって、怒りもしねぇ……
俺と、轟が…あいつのことを自分らのエゴで振り回して
欲と愛情押し付けて…
なのにあいつは怒らねぇ…
間違ったことをしてる自覚なんざ、とっくの昔からある。
どっちかが折れねぇと、あいつが壊れる。
分かってる
でも、あいつを手放したくねぇ…
轟も同じ理由だろ…
で、結局傷ついて、無理させてる。
好きな女に
ずっと好きで、あいつ以外好きになれねぇってくらい好きな女に…
俺らは…
あいつのたった一つの我儘なんだよ…
ヒーローになりたくねぇ、
普通ならおかしい。
みんななりてぇだろ、そう思ってた。
あいつに再会しても、そう思ってんのが普通だと思ってた。
でもあいつと関わるうちに…
色んなことが、見えてくるうちに…
その考えも、変わってった、いや、変えざる負えなかった
地位、名声、みんな欲しいもんだと思ってた
でもいつは…違ぇんだ
だから、ほっといてやれよ……
頼むから