第48章 スタートウィズミー
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「なんで…あいつがココ(ヒーロー科)に居んだ!あ?!」
爆豪が瞳孔を見開き、切島に問い詰めると、切島は「え?」と小さく声を漏らした。
そこに相澤が割って入り、爆豪を宥めるように肩をつかむ。
「落ち着け」
そして、切島の方に視線だけ向けると
「爆豪は、中学生になってたあいだの記憶が無い。
こいつがかかったのはそういう個性だ」
「そん…な…
じゃあ!寧々ちゃんに何があったかも知らないってことっすか!?」
「あぁ」
「寧々に…何があったんだよ!説明しろ!
あいつが…あいつはココに居たら…」
「爆豪!」
ピシャリ、と相澤が言い放ち、強い視線で爆豪を見つめる
爆豪は静かに口をつぐむと、言葉を飲み込んだ
この先の言葉は言うといけないのかと咄嗟に理解したのか
小さく舌打ちをすると、相澤が肩を掴んできていた手を振りほどく。
「授業後に誰か説明してやれ…」
相澤は静かにそう言うと、次の対戦相手の名前を呼んだ。
芦戸、緑谷、飯田、尾白の4人がモニタールームを後にし、それと入れ違うかのように、網にかかったままの峰田と、葉隠が入ってくる。
「峰田ちゃん、また見損なったわ」
「逆にあそこまでやれると尊敬するよ」
「うるせぇー!」
峰田は頭から血を流したまま下唇を噛む。
触れなかったし、負けたし、
これ以上もぎると痛いから網も取れねぇし最悪だ…
(あ…でも…、この網の締め付け…美少女に縛られたって考えると…)
「たまんねぇなぁ……」
峰田があと一歩で新しい扉を開こうとしていた時、
体操服に着替えた寧々が、モニタールームに戻ってきた。
と、同時に轟が近づくと、頭についた紫の球体に顔をしかめ
それを取ってやろうと掴む。
が…
「取れねぇ…」
小さく呟いた轟と、
『あ…』
と、何かを察した様子の寧々。
クラス全員が、「あ…」と言う中、次のチームの演習訓練を始めるブザー音が鳴り響いた。