第48章 スタートウィズミー
『わかった!』
今度は八百万の周辺から寧々の声がして、峰田は全力でその声の元まで走ると両手に大量に抱えたモギモギをそこに向かって投げつけた。
同時に空を舞う10以上のモギモギの1つが空中でピタリと止まる。
「そ…そこだぁあああああああああ!!!!!」
峰田が飛びかかると同時に、葉隠と八百万の叫び声
モニタールームでも同様に女子達の悲鳴と、男子達の「まじかよ!」という声が響き
轟は目を見開いた。
そのタイミングで、
やっと元の体に戻りヒーロースーツに着替えた爆豪勝己がモニタールームに入ってきた。
全クラスメイトが叫んでいる事に首を傾げ、モニターを見つめるが
モニターには、ひとつ浮かんだ紫色の球体と、
それに飛びかかるヨダレを垂らし、血走った瞳の峰田
周りの声が響く中、その球体は八百万に距離を縮めると
突然、何もなかったはずの場所から寧々が現れ
片手を突き出し網を創造した。
まるで世界がスローモーションになったようだった…
網のど真ん中に自ら飛び込んだ峰田は、寧々の足元に崩れ落ちる。
自らのモギモギが縄に絡まり動くたびにその小さな体を締め付けていった
寧々はというと、その体に黒いビキニのようなものだけを纏って、ホッとため息をつくと
唖然とする八百万の手元の人質用人形に軽く触れた。
演習終了のブザーが鳴り響く
「葉隠、口付ペアの勝利だ」
相澤がマイクに向かってそう呟くと、
寧々は両手で顔を抑えてその場にうずくまった。
モニタールーム内は、予想もして居なかった出来事に
皆唖然として、画面を見つめたまま固まる。
その中でも一番、驚いているのは
爆豪勝己だった。