第48章 スタートウィズミー
寧々が居たはずの場所に、浮かぶ体操服
『わぁ!すごい!本当に透明になっちゃった!』
何もない空間から、寧々の声がする。
葉隠はでしょでしょー?と言うと、手袋をポンと体操服の肩の上に置いた。
「じゃあ脱ごうか」
『ん?』
「だから、体操服
脱がないと透明人間の意味ないでしょ?
私も手袋も靴も外して頑張っちゃう!」
『ひぇ!?
ええええええええええええ!?』
「透ちゃん、いっつも全裸だったわね、忘れてたわ」
『うそ!無理、無理だよ!』
「大丈夫!見えないから!」
『でも…でも!!』
葉隠透はずっと透明だから心配がないかも知れないが
寧々の場合、万が一八百万の頬に唇が触れてしまったり峰田とキスをしてしまえば個性が写ってしまい、透明の個性は解除される。
その瞬間全裸の状態が晒されるわけで…
「でも!ヒーローになる為だもん!頑張ろ!寧々ちゃん!」
その一言を葉隠が言った途端、焦っていた体操服の動きが止まった。
そして、『……そう、だよね』と呟くと、
その場で体操服を下着をごと一気に脱いだ。
(足を引っ張らない…って決めたんだ
みんなのポテンシャルのためにも、私がヒーローになりたくないってことは、悟られないようにしなきゃ)
その姿を相澤は見ながら眼光を鋭くする…。
見えはしないが突然の女子の生着替えに、男子生徒の大半は顔を赤くして目を逸らした。
上鳴の眼球はペアの耳郎に潰され、峰田の目と口は相澤の首元の拘束具で縛られている
轟は、寧々の姿を静かに見つめていた。
これが彼女の、覚悟…
その時ふと思い出したのは、ヒーロー殺しステインとの対戦時
ステインの吐いた言葉だ
ーーーーー「お前達も……良い!」
心のに浮かぶ「もしかして」を振り払うように轟は首を振ると
何も言わずモニタールームに向かって歩いて行った