第47章 ウォークミー
「これは……」
「凄いですよね!?これがあの女の本性なんです!」
ラムはわざわざ席から腰を浮かせて身を乗り出す。
イルモは少し視線をラムに向けて、また書類に戻すと
「そうね
確かに、どれもよく撮れてるわ。」
と言った。
「ですよね!どれもバッチリとれてると思います!」
自信たっぷりなラムの目の前に、イルモはばら撒くように封筒の中身を出す
「え………?」
それを見た、ラムは思わず気の抜けた声を出した。
机の上に広げられた写真はどれも寧々を映したもので
そのほとんどが、学内を歩く寧々のピン取り写真。
残りは雑誌の撮影のものや、CMのもの…世に出回っている写真ばかりだ。
「うそ…うそ!」
ラムは机の上の写真を漁り、1枚1枚素早くめくって床に落としていく…
その目は大きく見開かれ、動揺が隠せないようだ。
茶封筒を手に取り逆さにして振るうけれど
中からは何も出てこない。
「証拠がないなら、男性関係のことは記事にはできないわ
それが証拠だというなら、一度精神科にかかった方がいいわね
この写真はもらっておきます。最初に撮らせてもらったあなたの顔写真と、サインしてもらった掲載契約書のコピーは受付で受け取って帰ってね。
おつかれさま」
「ちょ…まって!待ってください!本当なんです!
あの女、本当に3股かけてるんです!信じてください!!」
ラムはイルモにしがみつくと、縋って訴えた。
イルモはうんざりとした顔で、ラムを見下ろすと、
笑顔を作って、名刺を渡す。
「じゃあ、またいいネタと証拠ができたら連絡してね。
期待してるから」
「…は、はい!!」
名刺を受け取ってラムはパァっと顔を明るくする。
信じてもらえた、認めてもらえたのだと、安堵して1人残された部屋の中で小躍りした。