第47章 ウォークミー
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「そうか…ヒーロー名決まったんだな」
『うん…』
授業の合間の休憩時間に、多目的室を訪ねてきた轟は静かにため息を吐き、寧々の頭を撫でた。
「昼にまた迎えにくる、それと…
爆豪は多分5限目の最中に元に戻るらしい」
『そっか…』
寧々は爆豪と聞いて、傍目がちのまま答える。
「…大丈夫か?」
『あー…勝己と喧嘩したこと?
あれは、うん…そうだね、勝己とはちょっと距離をおこうかなって思ってるの』
「…!」
轟は大きく目を見開いて、寧々を見つめるが、寧々は困ったように笑うともう一度頷いて
『あの言葉はさ、多分勝己の本心なの。
中学の頃だからとか、そういうはきっと関係なく
なら、今も心のどこかでそう思ってるかも
「強いならヒーローになるべきだ」って…。
だとしたら分かり合えないよね、絶対に』
『焦凍はさ、ヒーローになっていいのか悩んだことがあるって言ってたでしょ?』
「あぁ」
まだ幼い頃だが
たしかに、父親がヒーローだが、父親のようにはなりたくない。
そう思っていた自分は、ヒーローそのものを目指すことに抵抗を感じていた。
だが、母親の一言…「なりたいものに、なっていいんだよ…」
その一言があったから、ヒーローを強く目指すことに、後ろめたさを感じなくなった。
一瞬だったとしても、遠い日だったとしても
ヒーローを闇雲に目指し続けていたものと、ヒーローになることに抵抗を覚えたもの。
寧々にとっては、後者の方が自分の気持ちを理解してくれる…そう感じたらしい。