第47章 ウォークミー
「…まぁ、突然のことだしね…
一応仮ってことなら付けてあげなくもないけれど…」
『お願いします』
再度頭を下げられて、ミッドナイトは ふむ…と口元に手をやって思考する素振りを見せた。
程なくして、ミッドナイトはマジックペンを取り出し
サラサラとボードにペンを走らせる。
その一連の動きを、相澤と寧々は静かに見守った…
「あ…ちなみに、このヒーローネームは【登場キャラクター名の編集】で好きなものに変えれるからね。」
ミッドナイトの謎の発言に、寧々は首をかしげる。
『登場キャラクター…名?』
「お前は気にしなくていい、大人の事情だ」
相澤がため息まじりにそう言うと、寧々は『そう…なんですか?』と未だ事態の飲み込めていない表情で言った。
「トップページでできるから」
『トップページ???』
「だから、お前は気にしなくていい」
寧々の頭の上には2つほど追加されてクエスチョンマークが浮かぶが、そんな事はどうでもいいと、ミッドナイトはペンを置く。
「じゃあ、口付さん。
あなたのヒーローネームを発表してもいいかしら?」
『お…お願いします……』
ヒーローになる気はなくとも、ヒーローネームを付けられるのはこんなにも緊張するのだと、寧々は手に汗を握った。
本気でヒーローを目指す人は、その名前に「どんなヒーローになりたいか」自分の理想や指針を込めるのだと言う。
ゆっくりとひっくり返されるボードに
決して公になる事はないであろうヒーローネームが太く、しっかりとした文字で書かれていた。
「あなたは今日から
Kissingヒーロー チュチュリップ よ!」
『チュチュリップ……』
寧々は自分に与えられたヒーロー名を復唱して
咀嚼するように唾を飲み込んだ。