第46章 コンファインミー
『私は!
普通に、地味に、人に紛れて生きていきたいの……!
のに、外見がどうとか…個性がどうとか……もうウンザリ…
ヒーローになんて、なりたくない。
でも断ったら…断ったらみんな、「もったいない」とか「もっと自信を持って」とか…
そもそも違うの、
ヒーローになりたいなんて今まで一回も思った事ない。
けど……断る勇気なんかない!
断ったらもっと目立っちゃう……』
寧々は流れていた涙を袖で拭うと、息を整えて爆豪を見つめた。
『勝己には…わかんないよ…
強個性で、なんでも出来て…自分の道を自分で選んで進んできた
そこがかっこいいって思ってたし、
それでも、人にはその考えを押し付けないところが優しいなって…思ってたけど
勘違いだったみたい
私と、勝己は、分かり合えないね…』
そう言い残すと、寧々は爆豪の横をすり抜け寮の中へ走っていった。
1人残された男は、何も見えない真っ暗な空を見上げる。
「……ヒーローに、なりたくねぇって
んな事あんのかよ」
挫折も、敗北も知らない男の心はまだ未熟だった。
最悪のタイミングで、最悪の言葉をかけてしまった爆豪。
寧々は轟の部屋に戻ると、書類や教科書を投げ捨てて、轟の胸元に抱きついた。
そして、泣きながら、爆豪に言われた事を途切れ途切れの言葉で告げる…
『私…ほんと、最低……
もうやだ…私、私を辞めたい…こんな体嫌だ
こんな個性いらない……!普通になりたい…!』