第46章 コンファインミー
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寮の前で先生とわかれた
何だかとても晴れやかな気持ちで、頭を下げる。
『人の噂も七十五日っていうしね…
ヒーローに向いてないって分かってもらえるまでは、みんなの邪魔にならないように気をつけよう…。』
そんな制約を一人で立てて、一人で誓う。
少し軽くなった心で振り返ると、そこには勝己が立っていた。
『勝己』
呼びかけると、私の手元を見つめて眉をピクリと動かす。
「その荷物」
『あぁ…これ?
ヒーロー科…の色んな必要なもの…
私、編入することになっちゃった……』
寧々は眉を下げ、肩をすくめると、小さくため息を吐いた。
「…嫌なんか」
『嫌…っていうか、なんだろ…。
ヒーローなんてなれるはずがないし。
なりたい人の気持ちもわかんないから、嫌なのかもわかんないけど…。』
「ならなりたくねぇって言やいいだろ」
爆豪から返って来た声の、突然の冷たさに寧々は顔を上げた。
「雄英ヒーロー科は、倍率500だ。
テメェがここに居るのに、500人の本気のヤツらが涙飲んでんだ。
んなのに、ヒーローになりたくもねぇ奴がなんで入れんだよ
おかしいだろうが」
この爆豪は、まだ中学二年生。
爆豪自身、雄英高校を目指している時期で、
そんな彼に、この寧々の言葉は相当な嫌味にしか聞こえなかったのだろう。
淡々と告げられる言葉は、熱もなく、ただ冷たく寧々を刺した。
「強個性だろうが、関係ねぇ
断りゃいいだろ、周りがなんと言おうが」
爆豪の言い放った言葉に、寧々はぎゅっと手元の書類を握りしめる。
『………断って、どうなるの?
私だって、好きで強個性になったんじゃない!』
自分の声が震えていることに気づいた。
言いたくないのに、言葉は喉をついて、出ていってしまう。
こんな、卑怯な考え聞かれたくない。
自分の本当の姿を、誰にも知られたくない
のに、自分の心の内を吐き出すことを我慢できずに、口を開いた。