第46章 コンファインミー
この社会はヒーロー絶対主義。
高額納税者ランキングはことごとくヒーロー名が連なり、
子供の夢はほぼ100%と言っていいほど「ヒーロー」
かつてのスポーツも、個性の前ではなんら魅力はなく
テレビの特番もドラマも、マンガもアニメもヒーロー役のないものなどない。
「かつて誰もが憧れた」「架空の」職業。
其の最高峰、雄英高校ヒーロー科。
「架空が」現実になる場所。
あぁ…吐き気がしそうだ…
何でこんなところに来てしまったのだろう。
たった一人、ヒーローを目指す彼を探すためにここまで来た。
ヒーローになるためじゃない。
使わなければよかった、こんな個性。
ぜったいぜったい、使わないって決めていたのに
自分の大切な人の、ほんの少しだけ手助けができたら…
そんな甘い考えで…。
自業自得だ。
わたしの未来は閉ざされた。
このヒーロー絶対社会で、みんな、妥協しながら働いている。
ヒーローになりたかったけれど、個性が向いてなくてパン屋さん。
ヒーローになりたかったけれど、個性が足りなくて警察官。
そんな人ばかり、
袖触れ合う人すべてが、だ。
ならば、この強個性をもっている私が、事務員になったとして
嫉妬の対象にしかならない…。
いや、そもそも雇ってももらえないだろう。
「いまからでもヒーロー目指しなよ」って門前払いがいいところだ。
ならばどうする
道はひとつしか残されていない。
「さぁ、決断してくれ!
ここが君の、ヒーローアカデミアだ」
根津から差し出された白い手を見つめる。
『……わかりました
ヒーロー科に編入させてください。』
ここが私の「ヒーロー」アカデミアだというのなら
私は、その決断に身を委ねるだけだ
本当に、滑稽だよね