第45章 メイズミー
「寧々…
今まで、私がヒーローになりたいって言ってたの、どんな気持ちで聞いてたの?
バカにしてた?
私みたいな没個性、なれるわけないって、思ってた?」
『そんなこと思ってないよ』って、言おうとしたのを飲み込んだ。
言ってもきっと、余計に傷つけるだけだから…
無言の圧力に寧々だけではない
罵声を浴びせていたクラスメイトも押し黙る
トン…と押された肩
衝かれた様に一歩、二歩と震える足が後ずさった
ぜんぜん、力なんてこもっていなくて、あっけなくて、それが余計に苦しくなった。
「でていってよ、寧々には2人もヒーローがいるんだからさ」
トス…っと
言葉が心臓を刺す
刺された場所から、ジワリ…滲み出た痛みが、鼻の奥をツン…とさせたけれど
そうだ、その通りだ。
ゆきは、正しい。
ここで泣いてしまっては、
ゆきが悪役みたいになってしまうから…どうにか堪えて。
ドアを引いて、寮から飛び出した。