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【ヒロアカ】キスミーベイビー【轟、爆豪、物間】

第45章 メイズミー


「寧々、大丈夫?」

『ゆき…』

ゆきは、床にへたり込んでいる寧々を立ち上げさせ、クラスメイトを睨んだ。

「暴力はだめじゃない?」


冷静な声は今まで張り上げられていたどの声よりも

静かで
落ち着いたものだった。

クラスメイトは圧倒され身を縮め、それでも怖々と反論をする。

「…だって、口付が……」
「許せないよ、強個性のくせに…隠してたんだよ?」

「それでも、暴力はダメ。」

口々に言い訳するクラスメイトにゆきはぴしゃりと言うと、ため息を吐いた。


「ヒーロー目指してるのに、ヒーローらしからぬ行動はどうかと思う。
でも…普通科にある理由のない生徒が、普通科寮に居るのもどうかと思う。」


言いながら、ゆきは寧々に向き直る。

そして静かに手を伸ばして寧々か細い肩を掴んだ


今までの喧騒が嘘の様…

人の怒声と嫌味で溢れていた共同スペースに
キンと耳が痛むほどの静けさ

唇が
ゆっくりと動く





「だからさ、出て行ってくれないかな。」




『…………ゆき』






その冷静な声に、指先が震えた
突然投げ掛けられた言葉に、寧々は彼女の名前を口にするので精一杯だった

気付いたら指先だけじゃなくて、手首も、膝も頬も心臓も引き攣って息が苦しい。

ぽん、と魂が抜けたみたいだ。
身体のどこにも、感覚がないみたいだと、寧々は思った。

ただ、自分の肩を掴むゆきの細い指の冷たい感触だけが食い込んできて、悲しかった。



「ねぇ、寧々…」


ゆきは、何も言えない寧々の目を真っ直ぐ覗き込む。
その瞳も、冷たくて冷たくて、寧々の心をじわじわと凍らせていく。


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