第45章 メイズミー
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「何でいるの?」
エレベーターを降りて、共同スペースに入った途端
寧々に投げかけられた第一声はそれだった。
皆から与えられる視線に、寧々は体の血がどんどん抜けていくような感覚になる。
『え……』
「だからさぁ、あんた、なんで普通科の寮にいるの?
強個性さん」
寧々の前に歩いてきて、覗き込んでくるのは、割と仲が良かったクラスメイト
言うことは言う、サバサバタイプで…体育祭の時も、爆豪が選手宣誓をした時なんかは大きな声で文句を言っていたような女子だ。
『…あの…私……』
「ちょっと!え?みんなどうしたの!?」
さきが、寧々とクラスメイトの間に入って、仲裁しようとするが、今度は他のクラスメイトが寧々の肩を掴んでドアの方に押した。
その拍子に尻餅をついてしまった寧々は、ビクついた視線をクラスメイトたちに向ける。
「お前さ、前々からヒーロー科の誘いが来てたらしいじゃん」
『それは…』
男子生徒が目の前でしゃがみ、寧々の目の前にスマホ画面を突きつけてきた。
ニュースサイトのトップには、大きく寧々の写真が貼られていて、内容は
《口付寧々は、以前からヒーロー科からのスカウトを受けていた。》
と書かれていた。
「なに?今まで個性隠してさ…私たちのこと笑ってたの?」
「俺らみたいな没個性ヒーローになれるわけないじゃんって、バカにしてたんだろ」
『…ちが………そんな……』
降りかかる非難に、舌の根っこが震えてうまく話せなくなる。
嫉妬を孕んだ視線が針みたいに体を突き刺した。
さきは、「やめなよ!」「話せばわかるって」と和解を促すが、取り合ってもらえず、クラスメイトから寧々同様に冷たい視線を向けられる。
そこにタイミングよく、ゆきがエレベーターから降りてきて、さきはパッと表情を明るくした。
1人で止まらなくても、ゆきなら……さきはゆきに駆け寄ると、事情を説明し、
ゆきは床に倒れる寧々に駆け寄った。