第44章 アバウトミー
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行為が終わってしばらく眠ってしまっていた2人を起こしたのは
ドアのノック音だった。
「…寧々」
声の主は轟で、寧々はゆっくり起き上がり、あたりに散らばった服を掻き集めて着替えた後
ドアへと壁伝いに向かい、ゆっくりと鍵を開けた。
轟は、部屋の入り口近くで立ち止まると
少し視線をベッドに向け
何も見なかったかの様に視線を寧々に戻すと
「校長と、相澤先生が来てる…」
と、声を潜めた。
『そっか……思ってたより早いな…』
寧々は、爆豪を起こさないように、静かにドアを閉めると
校長たちの待つ来客室へむかって歩き始めた。
暗くなった窓の外では、テレビ局の物だろうか?クルマのランプや、撮影機材の明かりで、一部人工的な光に包まれている。
こんなに大事になるとは思わなかった…というのが正直な感想だ。
たぶん、全部タイミングのせい……
かつてのオリンピックに代わる、雄英体育祭
その体育祭の、注目の的…入学間もなくしてヴィランと対峙した1-A組。
その中でも、入試トップ通過の爆豪勝己と、推薦入学者…加えてNo.2ヒーローエンデヴァーの息子である轟焦凍
そんな注目の的2人が、公にした想い人。
注目されても仕方なく、その注目が故にやってきた芸能活動の依頼。
一年契約のCMは今でも頻繁にテレビで流れている。
その間、雄英高校は目立ちすぎた…
爆豪勝己の拉致…オールマイトの引退…そして全寮化…
ニュースは雄英への興味で毎日持ち切りだった。
そんな中現れた…強個性の普通科生徒。
ただでさえ、入試試験については問題視する声が上がっていた中で、ネタとしては1級品。
しかも、あの体育祭を騒がせた女とあれば、特上のネタだ。
来客室に行くまでの廊下でそんなことを考える。