第5章 レットミー
「イケメンくんも怖い系なの?」
さきちゃんが身を乗り出して聞いてくる
『べつに勝己くんも怖くはないよ?根は優しいよ
焦凍は、冷たく見えるけど、すごく優しいと思うんだけど…』
「でもさっきの攻撃はかわいそうだったよね、イラついてたのかな?」
『うん…私何か気分を害すこと言っちゃったのかも』
はぁ、とため息を吐く
私は相当な鈍感らしいから、気付かず焦凍を傷つけたのかもしれない
だって試合開始ギリギリまではなしていたのは私なわけだし
目の前ですごい戦いが次々起きているのに、気が気じゃなくて集中して見れない
次の試合は、麗日さんと、勝己くんだが、ボーッとしてしまう
「ねぇ、寧々やばいって」
「王様くん、悪役すぎるよ!怖いよ!」
ゆきに揺さぶられて、ハッとする
『え?なに?試合どうなってる?』
身を乗り出してステージを見ると、ボロボロになった麗日さん
勝己くんは容赦なく爆発を打ち込んでいる
「あの女の子死んじゃわないかな…
もう何発も爆発受けてるんだよ」
「女の子相手なんだから手加減しなよ…」
私も一瞬そう思った、勝己くん幾ら何でもやりすぎだよって
でも杞憂だった
麗日さんの顔を見たら、あぁ違うんだって思った
『違うんだと思う…なんか
私には分からないけど、麗日さんは、ヒーローなんだと思う』
「そりゃヒーロー科だからね」
『麗日さんも、勝己くんも、ヒーロー同士だから
手加減したり、気を抜いたりできないんだと思う』
私がそう言うと、さきちゃんもゆきも黙り込んでしまう
『あ、偉そうな事言ってごめん!
ただ、麗日さんの顔みてたら、そうなのかな?って…』
「うん、そうかも」
「手加減された方が、腹立つもんね」
二人は納得したようにうなづいたが、会場では2人のヒーローを先導に勝己くんへの大ブーイングが起きていた
だが、ブーイングを制する相澤先生の声が、スピーカーからきこえてきた
「爆豪はここまできた、相手の力を認めてるから警戒してんだろ
本気で勝ちに来てるから、手加減も油断も出来ねんだろぅが」
ブーイングは収まり、会場がつかの間シーンと静まり返る