第44章 アバウトミー
なん度も繰り返し礼を伝えてくる切島に、胸が痛んだ。
圧倒的自分の優勢を持ってしての、譲歩…褒められるものではない。
電話を切りながら、自分の卑怯さに嫌気がさした
「爆豪は、寧々のことを個性を知る前から好きになっていた」
寧々に告げてやるべきか否か。
「……何考えてんだ…」
そんなことしたら、勝ち目なんかなくなんだろ
掴んだ前髪がグシャッと音を立てた。
馴れ合いすぎた
あいつと…感情を共有しすぎた
寧々を思う気持ち。
仮免に落ちて、置いていかれる焦り
公私どちらもだ。
轟は再度瞳にほんの少しの冷たさを取り戻し。
寧々の元へと戻った
彼女を抱きしめるために。
爆豪がここに到着するまでの間
決して離しはしない…