第44章 アバウトミー
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
「爆豪!まてって!爆豪!」
切島は、いつもより数倍歩みの早い爆豪を駆け足で追いかけ肩を掴んだ。
「どこ行くんだよ!」
「うるせぇ、関係ねぇだろ!」
「あんだろ!ダチなんだぞ!」
焦った表情でそう言ってくれる切島の胸ぐらを、爆豪は掴んでグッと持ち上げた。
赤い瞳が切島を刺す。
「…ダチってんなら………なんで言わなかった
あいつの個性が洗脳じゃねぇって、なんで言わなかった」
「………悪い
本当に、悪い…………」
切島は半分泣きそうな顔で謝ると、爆豪はその掴んだ胸ぐらを離して捨てるように切島を押しやった。
「…あいつの所に行く」
「あいつって…寧々ちゃんか?」
他に誰が居るんだよ、と言う爆豪に、切島はしばし考え…
「でもお前、寧々ちゃんの実家どこにあるか知らねぇだろ?」と言った。
いつも冷静でクレバーな爆豪だったが、今回ばかりはその冷静さを欠いてしまっていたようで。
言われて始めて気付いたのか、目を見開いて舌打ちをし、切島を睨みつける。
「……轟に、聞いてやるから
そん代わり、俺も一緒について行く。
お前、知らねぇだろうけど、雄英が寮生活になったのはお前の保護の為でもあんだからな?
そんなやつ1人で行かせれねぇよ
俺なら、仮免もあるし。一応インターンで実戦経験もあるしな」
ちょっと待ってろ、と言って財布と携帯を取りに寮に戻る切島。
その後ろ姿を見ながら、爆豪は本日何度目かの舌打ちをした。