第44章 アバウトミー
「おい、どういうことだよ…」
爆豪は、緑谷に飛びかかり肩を掴んだ。
中学時代の緑谷とは体の厚みが違うことに、さらに苛立ちは増していく。
右手に爆破を起こしながら爆豪は思いっきり緑谷を睨みつけた。
「どういうことだって聞いてんだろうが!!!!
あ゛?!?!クソデク!!!!
コピーって…どういうことだよ!!!洗脳じゃねぇのかよ!」
「落ち着け…爆豪…これは緑谷だけのせいじゃねぇ
黙ってた俺たちにも責任が……」
ソファーから駆け寄り、二人の間に入る切島が、荒ぶる爆豪を押さえつける。
「うっせぇ!!!
てめぇらはどうでもいい……だけどよぉ…デク…
てめぇは…テメェは知ってただろうが!!!!
俺が…どんだけ、キスのコピー個性を探してたか…!
知っててなんで…なんで言わなかった…ッ!!!」
BONB!!!と大きな爆発音が、壁に響き、爆豪が押し付けた手のひらが壁を焦がした
緑谷は、未だ、顔を俯いたまま……何も言わず、ただ爆豪の悪態を聞いている。
「……ッカス」
爆豪は、そのまま寮を出ていこうとする。
切島が、爆豪を追いかけ、シン……と静けさが共同スペースに残った。
やけに耳障りな、女の笑い声が、テレビから聞こえる。
「寧々ちゃん…やっぱりヒーロー科に入るべきだよね」
口火を切ったのは、葉隠だった。
「そうですわね…ですが、体育祭の時も1次敗退でしたし…」
「でも、これがきっかけでヒーロー科に転入できるかもしれないし!そしたらA組に来て欲しいね」
「あんだけの個性があんだからさ!きっとすげぇヒーローになるよな」
「キスって…してもらえんのかなぁ」
目をランランとさせ涎を垂らす峰田を、八百万は軽蔑と侮蔑の入り交じった表情で見つめた。
《これだけ強い個性です。ヒーローにならないなんて選択肢はないでしょうね!雄英高校の今後の動きに注目が集まります…》
テレビのキャスターは、そんな奥爆弾を設置して、ニュースを占め…続いては…と話を移した。