第43章 エクスポーズミー
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衣類を整えて、こっそりと空き部屋を後にすると
轟は廊下の真ん中でチュッと触れるだけのキスを寧々の頬に重ねる。
『もぉ…』
寧々は恥ずかしがって顔を背けるが、轟はもう一度顎を引き寄せて唇を奪った。
『戻ろ?きっとみんな探してるから』
「あぁ…そうだな」
2人は指を絡ませあって、クスクスと笑いながら階段を降りた。
「どこいってたんだ?」
アラタが人混みを避けて2人に近寄り、いつの間にか復活した物間も戻ってきて、2人に睨まれると寧々は
『ちょっと人混みに酔っちゃって』と適当な嘘をついた
物間が何かもの申そうとしたときだった…3人のスマートフォンが一斉に鳴り始め、寧々は、そういえばさっきも連絡が来て居たなとポケットからスマートフォンを取り出した。
いち早く届いたLINEを確認したのは物間で
無言のままテレビをつけ、パーティ会場に、壁に備え付けられた大型液晶テレビの音声が響いたーーーー
《では、口付寧々さんの個性は
時間無制限のコピーということですか?》
その音声に、寧々の手からグラスが滑り落ち、大理石の床にぶち当たって割れる。
友人たちの視線がその後の先に一度に集まった。
震える手、足、唇。
よろつくと、轟が抱き支えた。
《はい、彼女は隠していますが
本当の個性は【キスミー】、キスをすれば誰のどんな個性でも無限に使えるというチート個性なんです!》
意気揚々と答える女が画面いっぱいに映る…
「チッ…」と轟は舌を打ち
寧々は口元を押さえた
『ラム……さん……』
【雄英体育祭の勝利の女神
CMでも話題の口付寧々さんは強個性!?】の煽り文句が書かれたテロップの下で自信たっぷりにカメラに向かって笑う女性は
以前、轟に振られたことで逆恨みをしてきたサポート科2年生
探出ラム(さぐりで らむ)だった。