第43章 エクスポーズミー
『や…むり、今はほんと、無理だから…!』
寧々は轟の唇から逃れるように顔を背けるが
背けたことにより、轟の唇に触れた耳元から
「俺は、今お前が欲しい…」
と声を流し込まれてさらにパニックになる。
(顔も声も兵器とか…!
本当にやめて欲しいよぉ!!!!!!)
発狂と、羞恥とで爆発寸前
とその時、
「なぁにしてんのかなぁ!?」
と声がして巻きついていた腕が離れた。
「!?お、お兄ちゃん!」
目を開けると、焦凍を羽交い締めにしてくれている兄
同じく燕尾服に髪を撫でた物間は通常のヒーロースーツが燕尾服だということもあってか、この絶体絶命のピンチを助けてくれたヒーローさながら
兄の姿も、決して目に優しい訳では無いけれど
一時期毎日のように燕尾服を私服替わりに着ていた事もあって、まだ見慣れている。
何よりこの最終兵器並みの【焦凍×燕尾服×オールバック】を目の前にしたあとではまだ見れた方で
『で、でかしたよ!お兄ちゃん!
そのまま焦凍抑えててね!』
寧々はドレスをひっ掴み、ドレッシングルームへと走って向かった。
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ドレッシングルームに到着すると
いつものメイクさんとヘアメイクさんが待ち構えていた。
パーティをする時はいつも彼女達が呼ばれて、来賓者のヘアメイクをしてくれる。
「寧々ちゃん久しぶりねぇーいつぶりかしら?」
『寧人と私の入学パーティ以来だから…んー…4月?ぶり?ですかね』
「そんなぶりかしらねぇ!」
メイクのレンさんは、化粧水を叩き込んでくれながら目を丸くした。
「にしても、彼氏イケメンねぇ~♡
焦凍くん!カレンが張り切って張り切って大変だったんだから」
「腕によりをかけたわよ!」
コテを熱しながら鼻息を荒くするカレン。
『カレンさんの仕業かぁ…
あのせいで死にかけたんですよ?』
「あれは死ぬわよねぇー」
肩を落とす寧々に対して、してやったりと笑う2人。