第43章 エクスポーズミー
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新幹線は針のむしろだった。
右と左から突き刺さる視線は寧々を通り過ぎて両腕を掴んでいる男同士行ったり来たり…
『ねぇ…この雰囲気…
もう少し穏やかにならないのかなぁ』
「ほんとだよねぇ、辞めてくれない?
彼氏でもないくせに寧々に触るの」
「兄妹で手繋ぐ方がおかしいだろ
俺は姉さんとそんな事しねぇぞ」
マジレスする轟に物間はきゃんきゃん吠えたが
轟は寧々の手を握ったままホクホクと頬を緩める。
仮免講習も終わり、晴れてヒーロー仮免許を取得した。
その上今週末は、寧々の実家で2人きり…ではないが一緒に過ごせる。
久しぶりの週末を一緒に過ごすのが爆豪ではなく自分だということに少なからず優越感を感じながら轟は新幹線の座席に深く座る。
物間とアラタさえいなければ尚よかったのだが…
一方寧々はどこか浮かない顔をしていて、時折ボーッと窓の外を見ては、頬を赤ら首を振る。
そしてまたボーッとしてため息を吐くのだ。
そんな仕草が可愛くて、そっと頬を指で撫でると、くすぐったそうに笑った。
「ねぇ、僕がいること忘れてないよな…」
禍々しいオーラを向けてくる物間に「悪りぃ」とだけ返事をしたが、本当のところ、完全に忘れていた…悪りぃ