第42章 コンビニエントフォーミー5
腰が抜けたまま腕を伸ばしてドアを開けると
床にヘタリ込む寧々を見たさきは
「わ!」と驚いて、カバンを机の上に置き寧々を立ち上がらせてベッドまで連れて行ってくれた。
「まぁ、あれは腰が抜けても仕方ない…っていうか骨抜きにされても仕方ないよね」
腕を組んでうんうん、と頷くさきに
『そうだよね!』と寧々は食い気味に言う。
『もーあーゆーことされるとさーーーー』
ぼすん!と布団に顔を埋めると、ジタバタした後静かになった。
「…好きになった?」
覗き込むさきに、横目で頷いた後
『いや、もともと好きだよ?』と修正した。
『でもね、とりあえず明日から実家に焦凍と帰るし…
考えをまとめてみようと思ってるの』
「そっか…
じゃぁもしかして、いよいよ終盤だったりする?」
『なにそれ
映画とか小説じゃないんだよー?』
寧々はクスクスと笑ったが、さきはいたって真面目に首を振った
「ううん、映画とかなんかよりよっぽど濃いよ」
『そうかな…
でもだとしたらヒロインがちょっと平凡すぎるね』
寧々が自傷気味に笑うと、さきは「あの二人に張り合おうと思う方が大変だから」と笑った。