第42章 コンビニエントフォーミー5
昼休憩が終わり、席に帰ってきた寧々
「爆豪が探してたぞ」
そう心操が声をかけると肩をビクッと鳴らして『怒ってた…?』と聞く。
「怒ってるのが平常運転だろ、アイツ」
『まぁ、そうかも』
へにゃっと笑うとまた渋い顔をした
「アイツがお前のこと本当にお前のこと嫌いだと思ってるのか?」
心操の声は、授業直前のガヤついた教室の中でやけに大きく響き
クラスメイトは会話をやめて、2人に視線を移す。
「気づいてんじゃねぇの?
爆豪が、中学生になっても
またお前のこと好きになったってこと
気づいてて、知らねぇふりしてんじゃねぇの?」
「ちょっと!心操…!」
止めに入ろうとしたさきをゆきが止めた。
寧々は困惑を色濃く浮かべた瞳で心操をみつめる。
『…勝己は私のこと「大っ嫌いだ」ってはっきりいってるから』
「だから、それが好きってことだろ」
『変な事言うね、心操くん…
「嫌い」は「嫌い」だよ』
「そういう、鈍感な所…イライラすんだよ
お前ら見てると、イラつくんだよ…」
『ーーーっ……』
寧々は息を飲み込んで、胸元で握っていた手をさらに強く握る。
「ほんと、いい加減にしなよ!」
ゆきの制止を振り切って、さきが2人の間に割り込む
「今のは流石に心操言い過ぎ…」
「爆豪が素直じゃないのがいけないんじゃん…寧々はわるくないって」
クラスメイトたちも口々に援護をするが、寧々はその事に焦って両手を大きく振った
『ごめん!大丈夫……!
自覚あるの…
鈍感だって思う、っていうか言われ慣れすぎて…
からね、うん……でも、
爆豪くんには「嫌い」って言われてるから
私のことが好きっていうのは信じられないの…
いろいろ説明できないけど、信じられないの…
ごめんね』
語尾がどんどん小声になって、それでも笑ったままの彼女は、酷く痛ましくみえた。
「なら、アイツが…」
そこまで言ったところで、教師が教室内に入ってきて「なにしてんだー席につけー」と語尾を伸ばしていう。
心操は物言いたげな顔のまま席に付いた。