第42章 コンビニエントフォーミー5
翌日、昼休憩のチャイムがなると同時に逃げるように教室を後にした寧々
入れちがうかギリギリのところで、爆豪がC組に尋ねてきたが、寧々がいないことを確認して踵を返す。
廊下を進み、寧々を探そうとしたところで肩をつかまれて振り返った。
「…んだよ、誰だテメェ」
「…口付のクラスメイトだ」
爆豪の肩を掴んだ主は心操で、離せと言われて手を払われる。
「あの女どこだ」
「探してどうすんだ」
「んなこたテメェには関係ねぇだろ、死ね」
爆豪はケッと唾を吐き去ろうとしたのだが、
「また泣かせんのか」
という心操の言葉に足を止めた。
「泣い…?」
「昨日、寧々を泣かしたのお前だろ」
爆豪の目は大きく開かれたまま、心操を見つめた。
なにを言っているのかよくわからないといった様子の爆豪に、心操はため息をこれ見よがしに吐く。
「自覚もないんじゃ、しかたねぇな」
「昨日…泣いてたんか、いつだ」
「昼休憩終わってすぐ。
そのまま昨日の午後は休んだ」
押し黙った爆豪に心操は言葉を続ける。
「お前さ、本気で寧々のこと嫌いなのか?」
「なんでんなことテメェと喋らねぇといけねんだ
たかがクラスメイトの分際のやつと」
「そりゃ、
俺、好きだから、寧々の事」
「!?」
飄々と、とんでも無いことを暴露する心操を爆豪は睨みつける。
「こいつもかよ」と言いたげな敵対の視線に心操は薄ら笑った
「嘘だよ
でも今、あからさまに嫌な顔…っていうか
俺に敵意向けただろ」
「……してねぇ」
堂々巡りを続ける会話に、心操は嫌気がさしてきて
早々に終わらせようと降参したフリをする。
「勘違いだったみてぇだな
悪かったよ」
いきなり引き下がった紫髪の男に、爆豪は一瞬首をひねったが
これ以上噛み付くのも面倒だとなにも言わずに立ち去った。
廊下には、なんとも言えない表情を浮かべたままの心操が雑踏の中に残された