第41章 コンビニエントフォーミー4
さきとゆきは、寧々を見つけるなり
小さく叫んで駆け寄った。
ボロッボロ泣く寧々は2人の腕の中に収まって
声も出さずにただ泣き続ける。
クラスメイトの幾人かも心配してさき達に
「どうかしたの?」とか「爆豪…?原因…」なんて声を潜めて聞くが、2人もわからないと肩をすくめる。
結局授業が始まっても泣きやむことができなかった寧々は「調子が悪い」という名目で保健室で休むことになった。
目にアイスノンを乗せた状態で寝転び
「あー…」とため息なのか、唸り声なのかわからぬ声を出す。
(あと…1日だし、
うん、明日が終われば明後日は実家だもん…)
そうすれば、日曜の夕方に帰れば
月曜の昼には元の爆豪勝己(16)にもどってるはずだ
勝己に戻ったら、なんて説明しよう。
どうやっても言い負かされる図しか思い浮かばないけれど
うまく別れれるように考えなくちゃ…
焦凍にも言い訳考えないとな…
二人を納得させる言い訳なんて思いつかない
相談できる人を思い描くけれど、さきとゆき…あとはお兄ちゃん…
それから、アラタ…
アラタが一番いい案を出してくれそうだけれど
「俺と付き合うって言えばいい」とかなんとか言われそうだ。
そういう付け焼き刃の嘘はもうつきたくない…
ズレたアイスノンから天井をあおぐ
やっぱり、すごくショックだった。
勝己が好きだったのは
【ずっと探してた女の子】の私で
やっぱり私個人ではなかった
今まで疑問に思わなかったわけじゃない…
ただ、考えないようにしていた。
私が勝己を好きな理由も、勝己が私を好きな理由も
当たり前だと思いすぎてすぎて、考えないようにしていた…
自惚れてたよね…ホントに
ゆるゆるとやって来た睡魔に、
寧々はそっと目を閉じた…