第4章 フィールミー
リクリエーションが始まり
私は焦凍くんに呼ばれた裏の森に来ていた
『焦凍くんー居るー?』
「ここだ」
私の呼びかけに返事が帰ってくる
声のする方に行くと、壁に持たれるように座る焦凍君が見えた
向かい合うように座る
俯いていて表情は見えない
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〜轟side〜
呼び出しに快く答えてくれた寧々が
目の前にちょこんと座っている
少し心配そうな顔で
『あのね』
先に口を開いたのは寧々
「何だ?」
『あの、私、焦凍君に聞きたいことあって…』
「いいぞ」
『あの…左手のことなんだけど』
そう言われてハッとした
まさか見られていたのか
『さっき、戦ってた時にね、焦凍くんの左手から
火?みたいなのが出てたような気がして…
あ、違ったらごめんね』
「……
違わない」
『え…
でも個性って半冷…だよね』
「悪い、隠してたんだ
俺の個性は半冷半熱、
本当のこと言ってなくて悪い…」
『それはいいの、言いたくないことって皆あるし』
俺が謝ると、寧々は両手を振って否定し、大丈夫だよと付け加えた
「俺の父親は、エンデヴァー
晩年2位のヒーローなんだ…」
『エンデヴァー…知ってる、有名だもん』
「アイツは、上昇志向が強くて
絶対叶わないオールマイトの存在が疎ましいんだ
それでも叶わないと分かって、次の策に出た」
ぽつりぽつりと話し始めると、寧々は真剣な眼差しでこちらを見てくる
「個性婚って知ってるか?」
『えっと…昔問題になったよね
個性の掛け合わせ重視で結婚相手をみつけるっていう』
「そうだ、俺はその愛のない個性婚によって
No.1ヒーローにするためだけに 【作られた】子供なんだ」
言葉を失ったように、寧々が悲しそうな顔をする
『そんな…』
「母は、お前の左が醜いと
俺に煮え湯を浴びせた…
記憶の中で母はいつも泣いている」
握りしめていた拳を、そっと暖かいものが包んだ
寧々が両手でそっと握ってくれている
涙を流しながら