第41章 コンビニエントフォーミー4
そぞろ歩く学ランと美少女は
ごった返す食堂と反対側の中庭に歩いていった
寧々が適当なベンチを見つけて座ると、
その横に爆豪もどかっと座る。
寧々は両手で弁当箱を爆豪に差し出す
『今日は時間がなくてあり合わせだけど』と、ことわりを添えて。
「…いらねぇ」
『ダメ、爆豪くんはヒーローになるんだからちゃんと食べないと』
断る爆豪に寧々が包みを開いて、適当に箸でつまんだ卵焼きをズイッと口元に運ぶ
爆豪は「自分で食えるわ!」と吠え、箸と弁当を奪い取りガツガツ食べ始めた。
寧々は水筒に入れたほうじ茶を注いで、爆豪に渡す。
それも荒々しく奪い取ると喉を鳴らして飲み干した
「俺はテメェが嫌いだ」
『うん』
「汚ねぇ手使って、俺の邪魔しやがって」
『うん』
「洗脳してまで、俺に好かれてぇのかよ」
『うん…そうだったのかも』
寧々は未だ微笑を絶やすことなく
おにぎりを手に持ったまま爆豪の問いに答える。
『でも、体が戻ったら洗脳解くから
安心してね』
何度も繰り返している言葉を返すと、やっと一口食べ始めた。
「…意外とあっさり解除するとか言うじゃねーか
俺のことが好きなんじゃねぇのかよ」
『好きだよ』
ニコリと笑っていとも簡単に、好きだといってみせる寧々に爆豪は苛立ちを覚えて肩を掴んだ。
「テメェは、言ってることがメチャクチャなんだよ!!!」
広い中庭に爆豪の声が響く
何人かの生徒が何事かと視線を向けたが、すぐに各々の会話に戻っていった。
『うん、わかってる
メチャクチャだよね
入学して半年以上、個性で勝己のこと縛ってて
今更離れるとか、何がしたいのかなって自分でも思うよ』
でもね、と寧々は続ける。
『中学生の爆豪くんと話して、改めて思ったの
今までね、ほんとに自分でも自惚れてたなっておもうけど
勝己がね、私の個性のせいじゃなくて私のこと、私自身のこと好きだって思ってた
でも、違うんだってわかったの
ほら、爆豪くん、私のこと嫌いでしょ?
勝己は私の個性で私のこと好きになったの、それがわかったからもういいんだ』