第41章 コンビニエントフォーミー4
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「うっわ、すごいクマ!なにそれ」
「寧々らしくないねー、はいコンシーラー」
『わぁ…ゆきちゃん女子力…』
ゆきから受け取ったコンシーラーでクマを隠しながら
寧々は鏡の中の自分と対峙する。
(本当に…すごいクマ)
青々と目の下にできている寝不足の証
それもそのはずだ、
だって今日は一睡もしてない。
あのあと何度も抱かれて、何度も口で奉仕させられて
ベッドの上でも、シャワーに行こうとした時に呼び止められてドアの前でも
そのまま床の上で、また引っ張り戻されてベッドの上で…
ーーー「もうこんな時間か…」
と言いながら私の中から焦凍が抜けていったのは朝の7時で。
シャワーだけ浴びさせてもらって、現在9時前。
眠い…体が重い……そして、まだ体の中に焦凍が入っているような感覚…
ぼんやりと教科書を取り出して、先生の話は半分も聞かずにぼーっと黒板を見つめる。
(お兄ちゃんとキスしたの…そんなに嫌だったのかな
あんなに怒らなくてもいいのに…兄妹なんだから)
兄妹なのに、してしまった深い深いキス
時々かかる、熱い息遣い…
それから、それから……
食い殺されそうな
グレーブルーの視線
思い出すとカッ!と顔が赤くなってしまう。
(お兄ちゃんは、なんであんなキスの仕方をしたんだろう…
確かに、あれくらいしてしまえば恋人って疑われないだろうけど)
ぼおっと教科書を眺めていると机の上に「ペソっ」なんていう軽い音がして、視線を落とすと
四つに小さくたたまれた紙切れが机に置かれていて
開くと、神経質そうな文字でこう書かれていた。
「さっきからアクビが多いな」
差出人を探してキョロキョロすると、
隣の席の心操くんが、こちらを凝視していて
目が合った途端ニヤッと笑う。
(心操くんか…)
その文字の下に書き足して、
先生の見てない隙にそっと手紙を心操くんの机の上に置く
先生が振り向かないかドキドキした
(なんだか、こういうの小学生以来で楽しいな…)