第41章 コンビニエントフォーミー4
熱い息遣いが頭の上で聞こえる。
こんな「使われる」みたいな行為は初めてで
焦凍がどれほど怒っているかが、ひしひしと伝わってきた。
唇は自分の唾液で濡れていて、さっきからもう口内の中は焦凍の味でいっぱいだ
『…ッん…んぐ……』
何も言われずに出された白濁液を、吐き出しそうになったけれど、陰茎を口から抜くこともできず、そのまま飲み込む
「…これで、物間の味は忘れたんじゃねぇか?」
『ケホ…ゲホッ……んッ』
やっと吸えた息を付いていると、轟に唇を2度重ねられて個性が消える。
「……苦げぇ…
悪かったな、こんなもん飲ませて」
でも、これで綺麗になったな、と笑う焦凍はやっといつものように表情を見せてくれたけれど
さっきまでの無表情が脳裏に残っていて、まだ少しだけ怖く感じてしまう。
「俺が…あの時
俺が寧々の彼氏だって言っていれば
物間にお前の恋人役を取られなくて済んだのか…?」
腕を引かれ、やっと硬い床から柔らかいベッドに移る。
10月末の気候はほんの少し肌寒く、むき出しの肩は冷え切っていた。
轟は冷たくなっている寧々の体にキスを落としながら雪崩れ込むようにベッドに押し付ける
「嘘だったとしても…誰にも寧々を渡したくねぇ…」
掬い取った細い手の指先にも口付ける轟の姿は、前髪の隙間から覗く二色の瞳を欲望にギラつかせながらも、それ以外の光を宿していた
それは背筋が凍り付くような冷気を帯びているとも言えれば、身を焼き尽くされてしまうのではと思う程の熱を帯びているとも言えた
どちらが正しいのか、或いは両方だとしても、それは間違いなく暗い光を宿していた
『…しょう…と』
「好きだ…寧々…
好きすぎて、おかしくなっちまいそうになる」
呪いのような言葉を囁きながら
与えられる愛撫は執拗で、押しつぶされる芯芽が熱を持って形を変える。
『ーーーっはぁ…』
心は戸惑っているのに、体は欲に正直で、あっけなく気持ちよくなってしまう。
私が焦凍に抱かれているなんて知ったら、中学生の勝己はどう思うんだろうか
きっと今以上に幻滅されて
『嫌われるんだろうなぁ…』