第40章 コンビニエントフォーミー3
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ホームルームがおわって帰る準備をしていると、「おーい、口付、兄貴が来てるぞ」とクラスメイトの男子に言われて振り返る。
『お兄ちゃん、おまたせ』
「ん、帰ろうか」
ニコニコと手を差し伸べてくれる優しい兄に、寧々も笑顔で手を取ったのだが
その笑顔は、物間の陰に隠れて見えてなかった男を視界に捕らえて凍りつく。
『…ばくご…くん……』
「!?」
物間も低身長になった爆豪に気が付かなかったらしく
目を丸くしたあと険しく睨みつけた
「なにまたストーカー?
記憶ないんなら今くらい俺の恋人に付きまとうのやめてくれない?」
物間は寧々を引き寄せて笑う。
寧々の恋人を演じられる状況が楽しくて楽しくてたまらないようだ。
不安げな寧々と物間を見比べて
爆豪はニヤリと笑う。
「へぇ、恋人ってのは
彼氏のことを「お兄ちゃん」って呼ぶんか」
「『!!!』」
寧々は目を見開き、物間は小さく舌打ちをした
「…別にいいでしょ
そういう趣向なんだよ、行こう?寧々」
物間は適当に誤魔化しながら寧々を引いて廊下を歩く。
「そんなクソみてぇな言い訳が通じるわけねぇだろ」
2人を追う爆豪は校舎を出たところで寧々の腕を掴んだ
『…な、なに?』
「お前ら、恋人同士じゃねぇな」
爆豪から視線を外したまま、寧々は心の中で震える。
なんと答えるのが正解か、わからない。
「んな付け焼き刃の恋人のフリに俺が騙されるわけねぇだろ…
お前ら本当は…」
爆豪の瞳は確信したようにギラギラと光った。
口角は上がり、自信が垣間見える。
「幼馴染なんだろ」