第40章 コンビニエントフォーミー3
「もう諦めるしかないんじゃない?」とゆきが言うと
さきも大きく頷き「これはもう運命…いや、宿命なのかもしれないね」と大げさに言ってのける。
『どんな宿命よ…』
今日は大好きなハンバーグ定食にしたのに
一口も進まない食欲と一緒にフォークを置くと
後から肩を叩かれ振り返る。
『焦凍……』
「大丈夫か?
今日爆豪に宣戦布告されたんだが」
『ほんとに迷惑かけてるよね…ごめん』
心配する轟に瞼を伏せてお詫びをいうと、轟はムッとした顔をする。
「別に……」
何故か他人事のように扱われたことが気に食わなかったのか
「俺ら二人の問題だろ、迷惑とか言うんじゃねぇ」と付け加えると
寧々は、ありがとうと苦く笑った。
「今日は放課後来れねぇのか?
俺が行くとか…」
『あー…念のためにお兄ちゃんと帰る予定、
その後私の寮にもどったら連絡するね』
苦笑いのまま答える寧々をこの場で抱きしめたい衝動に駆られた
兄であろうと、今寧々の恋人のフリをしてるのが他の男だと思うと胸が軋んだ。
「わかった…じゃあまたな」
轟は少しだけ手の甲で寧々の頬を撫でて去る。
さきとゆきは、「「ほんとイケメンだなぁ…」」と呟いて焦凍の後ろ姿を見送った。
『でも最近、二人とも焦凍にしなよって言ってこないね?』
やっと一口頬張りながら聞くと、さきとゆきは「あー…」と顔を見合わせた
突然だ。
先週あたりまで焦凍推しがすごかったのに
突然ぱたりと止まれば、鈍感な寧々でも気づく。
「まぁ、あれですよ」
「うん、優しさにも種類があると学んだんですよ」
ね、と何かを確認し合う2人に
無理矢理話題を変えられて、何があっての心境の変化がわからないまま
昼休憩は過ぎた。