第40章 コンビニエントフォーミー3
仲睦まじく手を繋いで歩く姿は、兄妹としては異常だが
恋人同士として見てみれば、なんだ違和感のない、ただの美男と美女カップル。
そんな二人は、爆豪に気付くことなくB組寮に入っていく。
二人の姿が建物内に消えたところでやっと
爆豪は(なんで隠れてんだよ…)と己の足元を握った
「まぁ…好都合だ」
モブ女が出てきたところで、洗脳個性を解除させて
部屋に行ってあの金髪叩きのめす。
爆豪はB組の寮前で仁王立ち、ポケットに両手を突っ込むという
いかにもヤンキーな態度で寧々が出てくるのを待ち構えた。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
お兄ちゃんの寮部屋に来るのは多分これで3度目か4度目だ。
相変わらず飾られている等身大の自分のパネルを背に座ると、お兄ちゃんはココアを入れてテーブルの上に置いてくれる。
「なんだか久しぶりだね
寧々と2人きりで話すの」
『そうだねぇ』
久しぶりの穏やかな空間に寧々はホッとしながら答え、両手でココアを包み込むとふうふう息を吹きかけた。
「今日、爆豪と話したよ」
『っ!?』
そっと口をつけていたマグカップが驚いたせいで震え、熱いココアが唇を熱した。
『あつ…』
寧々はテーブルにマグカップを置くと、唇を抑えて唸る。
「寧々!大丈夫?」
物間は慌てて冷凍庫から氷を取り出すと、口元を抑える寧々の手をそっと掴んで
赤くなった唇をしげしげと観察した。
「うーん…軽い火傷かなぁ」
目の前で眉をひそめるグレーブルーの瞳。
私もこの色が良かったと何度思っただろう。
小さい頃、双子なのに似ていないことが酷くコンプレックスで「なんで、にぃにと似てないの?」と困るママに聞いたっけ。
「寧々の目は…」
お兄ちゃんの言葉に視線を上げると、優しく笑って瞳が重なった。
目の形はよく似ている。タレ目の、二重。
「ビターチョコレートみたいな色で、綺麗だ
同じ色だったら良かったのにってよく思うよ」
その言葉に胸がドキンと跳ねる。
少し薄めの唇は綺麗に弧を描いて口角を上げた。
「今日ね、爆豪に
寧々と俺、恋人だって言っちゃった」
お兄ちゃんはいつもそう。
綺麗な唇で、毒を吐く。