第40章 コンビニエントフォーミー3
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「寧々」
ホームルームを終えて、さあ帰ろうかという時に
呼びかけられた方を見れば
『お兄ちゃん?』
寧々は、クラスメイトに先に行くねと軽く手を振ると
ドアのそばに立つ兄のそばへと駆け寄った。
相変わらず、普通科生徒からのヒーロー科生徒に向けられる視線は穏やかでは無い。
刺さる視線の中で、物間は何事もないかのように微笑む。
「一緒に帰ろう、ちょっと話もあるし」
『え、あぁうん』
返事をすると手を握って歩き始める物間の後を寧々はゆっくりとついていった。
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ーーー 一方、
ヘドロ事件、緑谷雄英入学、そして初回の演習訓練…
この2年後にも満たない間に起きる予定の数々の敗北を、
まだ知らない爆豪勝己は、さっき感じた初めての敗北感を拭い去ろうと1-B寮のすぐ側で待ち構えていた。
「あんの金髪…殺す殺す殺す、ぶっ殺す!
同じ爆破個性なら爆破力で勝負だ…クッソ…!」
さっきは突然の事で驚いただけだ
実際戦えば俺の方が上に決まってる。
イライラと待ち構えている目当ての男は、物間寧人。
物間の個性を【コピー】だと知らない爆豪は、ただ単に爆発個性が被ったのだと思い込んでいる。
絶対に負けるわけにはいかない
今まで1度だって負けたことはないのだから。
(これは、さっきの仕返しで
モブ女は関係ねぇ)
誰にともない言い訳をしたところで、視界に止まった金色の影。
すぐに飛びかかってやろうと思っていたのに。
その金髪と楽しげに話す、寧々の姿が同時に目に入って
咄嗟に
本当に咄嗟に。
木の陰に隠れてしまったのだった