第40章 コンビニエントフォーミー3
その途端、寧々は体の自由を失い、頭にモヤがかかった状態になった。
(ーーーーなに?これ…)
「もう一度聞く、お前の本当の個性と
性質、発動条件は?」
(ーーーー私の個性は言えない…特に普通科には……)
心の中ではそう思うのに、口はゆっくりと開き言葉を発する。
『私の個性は、【キスミー】
性質は、時間無制限のコピー能力
発動条件はキス、男性には唇、女性には頬にキスしてもされてもコピーしてしまう。
解除条件は、同じ人とキスをすれば解除
別の人にキスをされると上書きされる』
「……想像してたより、ずっと強個性だな」
心操が個性を解除すると
パチン!と泡が弾けるかのように意識が戻り、寧々の頭の中を満たしていた霧が晴れた。
「悪いな、無理矢理聞いて
でも誰にもいわねぇから、安心しろ」
『………しんそ…くん』
心操は、寧々に一歩近づくと、クスリと笑う
「これが、洗脳…俺の個性
お前の個性いいな、すげぇじゃん
物間寧人なんかよりずっと強いし、なんでヒーローなんねぇの?」
『……』
心操の問いに寧々は俯くと、見えないように下唇を噛む。
ーー個性が強ければヒーローになるべき
いつもその言葉を聞く度に、そんな【あたりまえ】の事が出来ない自分を責められているような気分になるのだ。
「まぁ、隠してるのは得策だと思うぞ、その個性
バレたら…周りが黙ってないと思うし。
俺も、昔ならやっかんでたと思う。
でも、簡単な決意で目指していい仕事じゃないもんな
なんだかんだ言って、口付は意志が強いとおもうぞ
やらないってのも、立派な選択だ」
心操は寧々のネクタイをそっと指でなぞると、靴のつま先を寧々の靴のつま先にくっ付けた。
「で、どうする?
俺の個性、コピーすんの?」
言葉の意味がわかった寧々は
顔を赤らめるとフラつくように心操と距離をとった。